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発表 幕張海浜公園における統合的液状化調査

作成年度 2012 年度
論文名 幕張海浜公園における統合的液状化調査
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本地球惑星科学連合2012年大会
誌名 日本地球惑星科学連合2012年大会予稿集
巻・号・回 HQR22-P04
発表年月日 2012/05/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
地質・地盤研究グループ稲崎 富士
抄録
2011 年東日本大震災では震央から200km 以上離れた関東地域においても東京湾臨海部の埋立地や河川沿いなどで大規模な液状化が発生した.被災を受けた地盤・建造物の修復と今後の耐液状化対策の推進には,どのような特性を有した地層が液状化しやすいのか,液状化現象の地表徴候を規制する浅部地質構造要因は何かを把握評価することが求められる.従来,液状化地盤調査には概略地盤構造およびN 値と採取試料の細粒分含有率を求めることができる標準貫入試験ボーリングが多用され,付随的に砂試料に対する液状化試験が実施されてきた.しかし従来の標準貫入試験ボーリングでは,コア試料は基本的に採取されず,標準貫入試験採取試料に対する取り扱いも乱雑であり,本来的に地中で発生する液状化現象とそれを規制する地質学的要因を把握することは不可能であった.また乱さない砂試料に対する室内液状化試験についても,特定の条件下で液状化するか否かを判定するものであり,その試料が地震時に液状化したか否かを判定するものではなかった.これに対し堆積学領域で標準的なオールコアボーリングと詳細コア試料解析を適用すれば,より直接的に液状化層の同定とその特性評価が期待できる.また2 次元地盤構造あるいは物性構造をイメージング可能な物理探査を採用することで,液状化が発生した浅部地層内の不均質構造を把握できると期待された.そこで顕著な液状化が発生し,大量の噴砂,地割れが発生した地区において統合的な液状化調査を実施した.調査地は海浜幕張地区に位置する幕張海浜公園B 地区大芝生広場である.この調査地において,深さ35m までの標準貫入試験ボーリング(1 本),20m のオールコアボーリング(4 本),コーン貫入試験(15m,7 孔),ハンディジオスライサーによる砂脈採取(4 地点,9 枚,最大深度2.4m),簡易貫入試験(1 地点,6 孔,最大深度6.3m),打ち込み式サンプラーを用いた表層コア試料採取(1 地点,4 孔,最大深度4.3m),高精度表面波探査および高分解能S 波反射法探査(120m,2 測線),PS 検層(1 孔,30m)を実施した.ボーリング調査では約2m 厚の表土(公園造成粘性土)の下位に約3m 厚の主として細砂・シルトからなる浚渫埋土が分布し,その下位に自然地盤の海成砂・シルトが認められた.地表に大量に噴出した液状化噴砂は主として貝殻小片を多く含む細砂であったことから,液状化元層は浚渫土を主体とし,下位の海成砂層の一部も液状化したことが疑われた.物理探査結果では,深さ3m ないし5m 付近に低速度層が部分的に出現した.砂脈砂層および細砂層の一部には,側面あるいは上位から取り込まれたと推定される表土あるいは粘土ブロックが含まれていた.また液状化推定層準ではN 値が相対的に低い値を示した.なお地割れの多くは植栽との境界部あるいは埋設物上に認められた.コーン貫入試験および簡易貫入試験の結果から,表土は稠密で透水性が低いことが推定された.さらに表土の厚さは地点ごとに変動していた.この表土の物性の空間的変動が液状化による地割れの分布と規模を規制する一つの要因となっていることが推定された.なおこの調査は関東地方整備局からの液状化緊急受託調査として実施されたものである.
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