国立研究開発法人土木研究所

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発表 イヌイトモの分布と生育環境

作成年度 2015 年度
論文名 イヌイトモの分布と生育環境
論文名(和訳)
論文副題
発表会 水草研究会誌
誌名 水草研究会誌
巻・号・回 102
発表年月日 2015/11/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
河川生態片桐浩司
若原正博
河川生態萱場祐一
抄録
イヌイトモ(Potamogeton obtusifolius Mert.et Koch)は,ヒルムシロ科ヒルムシロ属の多年生の沈水植物である。本種の分布は、北海道東部の釧路市大楽毛,厚岸郡厚岸町,川上郡標茶町標茶,シラルトロ湖,釧路川に限られるが,シラルトロ湖を除き,これらの最近10年間の状況についてはわかっていない.本研究では、過去に報告された生育地に加え,著者らの最近の調査によって新たに発見された十勝川の2箇所の生育地を対象に,イヌイトモの分布の現状と,生育環境についての調査を行なった。本研究から,2010年以降の国内におけるイヌイトモの確実な生育地は,北海道東部の川上郡標茶町の釧路川旧川と2つの河跡湖,中川郡豊頃町の河跡湖と中水敷の掘削池の5箇所であることがわかった.これらは河川の蛇行区間に位置し,本川から切り離された旧川や河跡湖,池であるという点で共通している.イヌイトモは,河川氾濫時に形成されるこうした旧川や河跡湖に入り込むことで個体群を維持してきた種かもしれない.今後,5箇所のイヌイトモ生育地の状況を監視していくばかりでなく,北海道東部の旧川や河跡湖を中心に,本種の新たな分布情報や生態的な知見を蓄積していくことが必要であると考える.
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