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発表 扇状地の中小河川における部分拡幅工法の有効性

作成年度 2015 年度
論文名 扇状地の中小河川における部分拡幅工法の有効性
論文名(和訳)
論文副題
発表会 応用生態工学会 第19回大会(郡山大会)
誌名 河川技術論文集21
巻・号・回
発表年月日 2015/09/10 ~ 2015/09/13
所属研究室/機関名 著者名(英名)
岐阜大学 流域圏科学研究センター原田守啓
国立研究開発法人土木研究所自然共生研究センター高岡広樹
国立研究開発法人土木研究所自然共生研究センター大石哲也
国立研究開発法人土木研究所河川生態チーム萱場祐一
抄録
我が国の河川延長の大部分を占める中小河川では,改修後の河床低下や瀬淵の消失など,治水と環境の両面から課題が指摘されている.流程に見あった河川地形(セグメントMにおける礫段・礫列,セグメント1における砂州など)による瀬淵構造と水際域が形成・維持されることが望ましい1)が,中小河川の河道改修では,狭く深い単段面河道への改修が一般的に行われてきており2),流程にみあった河川地形が保持されていない中小河川が多くみられる3).人為的な河川断面の変更や河道の粗度が低下した結果,洪水中の流況が河床形態の発生領域に対して相対的に変化することが,その要因として示唆されている3).さらに,河川生態系において重要な生息場である瀬淵と水際の保全という観点のみならず,洪水に対する河床の安定性の観点からも,適度な川幅を河道にもたせることの重要性が指摘できる.しかしながら,我が国の中小河川延長の大部分は昭和50年代以降に集中的に改修が進められ2),多くの河川では河川用地の設定を伴う一次改修を終えており,土地利用が進んだ地域では,大規模な災害が発生したのちの改良復旧等の機会を除いて,川幅を拡幅する方向で再設定することが難しい.これらの状況に鑑み,筆者らは,川幅の拡幅が困難な川でも,瀬淵や水際を部分的に形成する工法の実用化に向けた取り組み4),5)を行ってきた.一方河川に面した土地が公園など公共性の高い土地利用である場所や,開発が進んでいない場所など,一部の区間に限って河道を拡幅する操作が可能な状況は多いと考えられる.また,河川災害復旧の最新の技術基準6)では,景観及び自然環境関連法令における重要地域や水辺利用が期待される箇所では,災害復旧において,水辺の地形処理も含めた特別な配慮を行うこととしており,河川に面した土地も含めた一体的な空間形成が期待されている.一部区間の河道拡幅を行うことは,欧州では部分拡幅工法(LocalRiverWidening)として実施されている.部分拡幅は,礫床河川において,一部区間のみ低水路拡幅して流砂を堆積させ,河床高を回復しながら場の多様性を創出する手法とみなされている7).本研究は,主に欧州で試行されている部分拡幅工法の我が国での有効性の検討を目的とし,まず,扇状地区間を流れる中小河川を対象として,部分拡幅を行った際の河川地形の応答について検討した.木曽川扇状地を流れる中小河川を部分拡幅した事例について追跡調査を行い,地形変化過程を考察した.さらに,河床勾配の異なる仮想河道に異なる平面形で部分拡幅工法を適用した河床変動解析の結果に基づいて,扇状地区間における工法の有効性について検討した.
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