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論文投稿 河川での低濃度濁水の発生に対するアユの反応事例: 野外における河川区間スケールでの実験

作成年度 2015 年度
論文名 河川での低濃度濁水の発生に対するアユの反応事例: 野外における河川区間スケールでの実験
論文名(和訳)
論文副題
発表会
誌名 応用生態工学 18(2)
巻・号・回
発表年月日 2015/12/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
国立研究開発法人 土木研究所 自然共生研究センター加藤康充
国立研究開発法人 土木研究所 自然共生研究センター小野田幸生
国立研究開発法人 土木研究所 自然共生研究センター森照貴
国立研究開発法人 土木研究所 自然共生研究センター萱場祐一
抄録
河川は,[)裳侵食や地滑り!河日i崩壊なとの白然現象に起因して土砂が流入することで品目る(Wood&Armitagc1997)このような濁水は降雨による出水時に生じることが多く!平水に戻り!時間が経過ナるにつれて濁りも収まる(Williams1989)しかし大規模な斜而崩壊や地消りが流域内で生じることで,'1と水時にも濁ノkが継続的に流卜する場合がある(W∞d&Armita酔1997)また!森林伐採や工事代かき!鉱物の採掘!ダムからの排砂などの様々な人為的出動によっても濁水は生じ(Waters1995:Wood&J mitagc1997:佐藤2006:須戸ほかZα)日,角ほか2012),このような人為的要因による濁水は1平木時に流れることが多い湖水を管1唱するために!間内においては水質汚濁防止法に基づく「排水基準」や環境基本法に基づく「生活環境の保全に関する環境県準」および「水崖用ノj,基準」2015年1日5H受付2015年9月17日受理*e-01aiJ:kafuuy.vM問問fsu!WIl!?j'o_co.jth世EcologyandcivilEngineeringがためられている(総埋附1971:環境庁1991:日本水産資源保護協会2羽0)排水基準では!浮遊物質濃度が2α}mg/L(tI問、下均150mg/L)をh回らないことが義務付けられており,水産用水基準では!河川における濃度が25mg/Lを卜回らないようにすることが明記されているこのような基準を設定Fることで,人間の生活環境だけでなく水崖動楠物の保護保全にも配慮されている河川における濁りの発生は!魚類に対して様々な影響を及ぼすこれまでに濁水によるエラの損傷や病気の発現に伴う死亡率の卜昇1摂食頻度の減少に伴う成長τ事の低卜などが報合されている(Watcrs1995:Newcombe&Jcnscn1996:Wood&Armilage1997:Wilber&Clarke2∞1)そのため1河川に生息する魚績は!濁水による負の影響を何l避するため忌避行動をとるものと考えられ1溺水の発生に伴い広域的にいなくなる可能性が指摘されている(Waters1995)ただし野外において実際に忌避行動を観察した研究は少なく,サケ不l魚類を対象に行われた研究がいくつかあるのみである(Watcrs1995:156Ji)!I1!t/t;宇ヱ学18(2),2015HarveyetaL1999;MakiguchietaL2009;Koizumieta12013)アユ(Plecoglossusaltivelis)は日本の河川において重要な水産魚種である(jl那部ほか2001)そのため!占くからアユの生息、環境ャ県餌行動!産卵や遡上行動に関する研究が進められてきた(石田1964;川那音1I1970;内旧2002;中村糟谷2004)濁水が及ぼす影響についても様々な側面から検討されており!濁水による致比濃度やストレス応答!摂餌障害などに関する知見がある(小111桜井1965;本IJI1983;藤原1997;安房田ほか2010)これらの研究を整理すると,10,000mg/L程度の渇水に曝されることで!アユは短時間のうちに致死することが多く!このような高濃度潟水を避ける行動を起こすことが示されている(本田1983;村岡角1998)その一方で!水産用水基中で定められている25mg/L程度の低濃度濁水については!アユへの影響を評価することが難しく,致死やストレス応答が見られないといった報告もあれば(村岡・角1998;安房間ほか2010),肥満度の低下や摂餌障害が生じるといった報告もある(騰原1997)ただし水槽を)1いて濁水と清水のどちらを選択「るかを検祉した実験ではlこの程度の低濃度濁本であっても濁水を選ばなくなると報告されている(小山桜井1965本田198ヲ!藤原1997)そのため!たとえ低濃度の濁水であっても忌避行動を起こしその場所からいなくなる可能性が考えられる濁水がアユに及ぼす影響に関して!検証の多くは室内実験によるものであり(例えば,藤原1997;村附角1998;安房田ほか2010),実際の河川での知見は乏しいのが現状である向然河川では!数百メートルといった河川区間スケールの巾で流速や水深が複雑に変化するため!これらの要因の変化に応じる形で流下する濁水濃度も変化する(野渦ほか1942;土木学会1999)例えば,河川の流'L、部近くを高濃度の濁水が流れていたとしても!流速が低下する河r-;~部や湾曲部などでは濃度が薄くなることカすある(Sorvizi&Martens1992)そのため!たとえ室内実験で忌避が観察された濁水濃度であっても!臼然河川では局所的に濁水が津まる場所をアユが利用することでその河川区間内に留まるロj能性が考えられるつまり,水槽などをIJいた室内実験だけでは,短期的な反応、や選好官tに関するま1見は得られるが3河川区間スケーJレでのアユの移動に関しては予測のi戒を出ないそこで,本研究では野外を流れる実験河川(平均川l附2,5m,流路長800m)において1短期的な低濃度の潟水によりアユが忌避行動を起こして河川|区聞から移山するか存かについて実験を行った本実験は!卜流端で合流する2つの実験河川を)1)い,片方の河川だけに濁水を流すことで,それに対するアユの反応、を観測したものであるアユの反応についてはテレメトリー法を用い,濁水の流下により!アユが濁ノドから清水へと移動するかどうかを連続的に観測するとともに1アユの定位位置が濁ノkの流干前後で変化するかについて調売を行った
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