モルタル吹付工の背面地山の風化による土砂化・空洞化を防ぐためには、雨水がモルタル背面に供給されることを防ぐことが必要である。モルタル吹付工の背面に雨水が供給されるケースは、1)背面地山を切土した際にその上の肩部に残る表土層からの侵入、2)吹付工表面亀裂からの侵入、3)亀裂性の地山である場合等の地山からの湧水、の大きく3つが考えられる。このうちに2)に関してはひび割れ補修による対応が可能であり、3)については、本来は開放型の対策を検討すべきケースであり、やむを得ずモルタル吹付を行う場合には、適切に集・排水対策を行うこととされている。一方で、1)の肩部からの侵入水に関しては、のり肩排水溝の設置のみでは表土層中の侵入水には対応できないことから、「道路土工-切土工・斜面安定工指針」1)においては、地山までの巻込処理による対応を行うものとされている。しかしながら、実施工を考えた場合に地山まで完全に密着した巻込処理を行うことは、地山と表土層との境界部では凹凸があるため困難であり、表土の一部が残ることになる。このような状態で実際にどの程度の効果があるのか不明であり、これまでに雨水の侵入に対する巻込処理の効果を検討した事例もない。このため、巻込処理の効果がどの程度あるか簡易な模型実験による検証を行うとともに、背面侵入水への対応に関する考察を行った。 |