劣化程度の異なる耐候性鋼板,溶融亜鉛めっき鋼板,金属溶射鋼板を用いて、素地調整程度と補修塗装系を各種組み合わせて試験板を作成し、5年間の暴露試験を行った。その結果を以下にまとめる。1)劣化した耐候性鋼板では、動力工具でISO St 3の素地調整を行い仕様Rc‐Ⅲで補修塗装しても、沖縄暴露試験5年でさび,膨れの塗膜異常が生じた。2)千倉で10ヶ月間暴露し劣化させた耐候性鋼板では、動力工具でISO St 3の素地調整を行いRc-Ⅰを補修塗装しても、沖縄暴露試験5年で塗膜異常が生じた。一方、ブラストでISO Sa 2以上の素地調整を行いRc‐Ⅰで補修塗装した場合には、塗膜異常はみられなかった。3)つくばで10ヶ月間暴露し劣化させた耐候性鋼板を補修塗装し静岡暴露5年を行った場合でも、結果は上記2)と同様な傾向であり、劣化した耐候性鋼板を補修塗装する場合には、素地調整は動力工具(ISO St 3)では十分ではなく、ブラストでISO Sa 2以上の素地調整が必要であることが示唆された。4)劣化した溶融亜鉛めっき鋼板では、素地調整程度、補修仕様が同じであっても、亜鉛めっきの劣化期間や程度の違いにより、暴露試験5年で塗膜外観、膨れの発生の有無に違いがあった。沖縄,北陸道で180ヶ月暴露された試験板を使用している試験では、さびの発生はないが膨れが生じており、引き続き継続調査、検討が必要であると考える。5)劣化したアルミ溶射鋼板をISO Sa 2 1/2に素地調整し、仕様Rc‐Ⅰで補修塗装した試験板は沖縄暴露試験5年でも異常はみられなかった。 |