地震で被災した河川堤防では,縦断方向に発達した亀裂が広範囲で確認されている.亀裂の到達深度を把握する事は堤防を維持修繕する上で重要であるが,亀裂の到達深度を把握する方法としては,水と混合させた石灰を亀裂へと流し込んでおき,後で掘削して目視確認する方法が一般的で,迅速かつ効率的な亀裂の検出方法は確立されていない.統合物理探査のように複数の探査を組み合わせ,堤防の安全性評価を統計的に行う方法もあるが、個別の亀裂を単独で検出できる方法としてはGPRが有効と考えられる.ただし,開口幅の小さい場合は検出が困難となることが予想できる.今回,茨城県西部を南北に流れる小貝川の左岸堤防(50.4~52.6k付近)でGPRの測定実験を行った.同区間は東日本大震災により開口幅5mm程度の縦断亀裂が発生し,堤防補修工事のためアスファルトの撤去、および亀裂発生箇所での掘削確認の実施が予定されていた.著者らはまず最新の3次元GPR探査車を用いて亀裂の検出を試み,次に掘削確認する亀裂において,高分解能のGPRを用いて堤防横断方向の測定により亀裂分布のイメージングを行った.そして、アスファルト撤去後,路盤中の亀裂状況について観察し,探査結果の検証を行った. |