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発表 ゴム支承の終局限界状態の評価に関する研究

作成年度 2014 年度
論文名 ゴム支承の終局限界状態の評価に関する研究
論文名(和訳)
論文副題
発表会 篠原聖二
誌名 第17回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集
巻・号・回 17
発表年月日 2014/07/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
橋梁構造研究グループ篠原聖二
橋梁構造研究グループ京都大学
橋梁構造研究グループ榎本武雄
橋梁構造研究グループ星隈順一
橋梁構造研究グループ岡田慎哉
抄録
平成7年兵庫県南部地震における道路橋の被災経験を踏まえ,当時の建設省より通達された「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に関する仕様1)」において,ゴム支承を積極的に用いることが望ましいと記載されたこと,また,平成8年には,それまでに研究成果としてとりまとめられていた免震設計マニュアル2)が,新たに道路橋示方書3)に取り入れられたことにより,以降,ゴム支承が広く普及することとなった.一方,2011年東北地方太平洋沖地震では,平成8年道路橋示方書に基づいてレベル2 地震動に対して設計されたゴム支承に破断やき裂等の損傷が生じた.仙台東部道路の東部高架橋4,5),仙台北部道路の利府高架橋4,5)では,地震時水平力分散型ゴム支承の破断やき裂が,東水戸道路の新那珂川大橋では積層ゴム支承の破断が,国道6 号線バイパスの旭高架橋6)では鉛プラグ入りゴム支承のき裂が確認されている.これらのゴム支承の損傷の要因については,伸縮装置を介した隣接桁からの過大な荷重伝達,ゴム本体の経年的な材料劣化,上部構造のクリープや乾燥収縮によりゴム支承に生じていた初期変位の影響などの可能性があると考えられている.このような要因が考えられる中,ゴム支承の品質管理の重要性も高まってきている.このような背景のもと,平成24年道路橋示方書7)では,支承部は次に示す力学的特性が,使用される条件を考慮した実験により明らかでなければならならないことが新たに規定された.・支承部の機能が失われる状態が明らかであり,その状態に対する安全性が確保できること・供用期間中に発生する地震による作用に対して安定して挙動すること ここでいう実験とは,対象とするゴム支承の破壊までの力学的特性と地震時の繰り返し載荷に対する力学的特性を評価するために行う載荷実験であるが,実験結果により力学的特性を評価するための指標や閾値については研究データが十分ではないのが現状である.また,鉛プラグ入りゴム支承や高減衰ゴム支承のような免震支承を用いた免震橋の設計では,橋の耐震性能が免震支承によるエネルギー吸収能に大きく依存しているため,使用する免震支承が有する力学的特性を適切に設計モデルに反映することが重要である.免震橋の動的解析に用いる免震支承の非線形履歴特性の設定方法は平成16年道路橋支承便覧8)(以下,H16 支承便覧)に示されているが,その後の調査研究や技術開発の進展によって,免震支承の力学的特性も変化してきていることを踏まえ,高橋ら9)は鉛プラグ入りゴム支承や高減衰ゴム支承の新たな設計モデルを提案している.ただし,この新たな設計モデルを構築するための試験データの供試体数は限られており,この設計モデルの一般的なゴム支承への適用性について検証しておく必要がある.以上のような課題のもと,本研究ではゴム支承の2破壊までの力学的特性と地震時の繰り返し載荷に対する力学的特性を評価する手法を確立するための基礎データの蓄積を目的として,地震時水平力分散型ゴム支承48体,鉛プラグ入りゴム支承34体,高減衰ゴム支承30体を対象に,有効せん断ひずみ175%,設計せん断ひずみ250%,終局限界状態に相当するせん断ひずみ300%の各せん断ひずみ水準における繰り返しせん断変形能試験や単調載荷による破断試験を行い,ゴム支承が有するせん断変形特性の整理及び分析を行った.また,本研究で行った試験データをもとに,高橋ら9)が提案している鉛プラグ入りゴム支承及び高減衰ゴム支承の新たな設計モデルの適用性について実験値と設計値の比較を行った.
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