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発表 「多自然川づくり」と流体力学の接点

作成年度 2014 年度
論文名 「多自然川づくり」と流体力学の接点
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本流体力学会誌「ながれ」第33巻4号
誌名 日本流体力学会誌「ながれ」 vol33, no4
巻・号・回 vol33, no4
発表年月日 2014/08/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
独立行政法人 土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター原田守啓
独立行政法人 土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター高岡広樹
独立行政法人 土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター大石哲也
独立行政法人 土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター萱場祐一
抄録
「多自然川づくり」とは,河川全体の自然の営みを視野に入れ,地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し,河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために,河川管理を行うことをいう.国土交通省では,平成18年に「多自然川づくり基本方針」を新たに定めて,河川管理行為の全ての局面において,「多自然川づくり」の取り組みを進めている.特に,中小河川では,高度成長期以降,画一的な改修がなされ,特に環境面から課題が多いとされてきた.このため,平成20年3月には,都道府県が管理することが多い中小河川における多自然川づくりの具体的な技術論を「中小河川に関する河道計画の技術基準」に示した.平成22年には,治水と環境の総合的な視点から,河岸・水際部の計画・設計に関する基本的な考えをとりまとめ,技術基準の改定を行った.また,技術基準の具体的解説を分かりやすい図版とともに示した解説書1)を順次刊行し,技術基準の普及啓発を図ってきた.これらの技術基準は,多自然川づくりの現場を支援するために,近年までの河川工学,土砂水理学,河川生態学等の学術的・技術的知見をある程度集約したものであったが,これらの知見は河川中流域に偏っており,山地渓流から河口までの広い流程に対応するには課題がある.また,方針は示したものの,実務者が設計を行うための手法が整理されていない事項も,技術基準には複数残っている.中小河川の多自然川づくりは,発展途上の技術体系であり,これらの学術的・技術的な知見の不足を補う努力のみならず,計画・設計・施工・維持管理の各事業プロセスの改善,多自然川づくりに適応した新工法・新技術の開発といった取組みを進めている.本稿では,多自然川づくりの基本理念に深く関わる,河川地形と生息場の関係について触れた後に,多自然川づくりに関わる調査研究の中でも,主に中小河川を対象とした最新の議論を紹介する.さらに,多自然川づくりの技術体系を,流体力学の視点から解説することを試み,今後の展望を述べる。
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