良好な河川環境保全のためには、計画の策定にあたって、その管理目標を明確にし維持管理を行う必要がある。しかし、その手法は未確立の状態にあり、速やかに開発する必要がある。一方,治水事業では,その長い歴史の中で、目標とする流下能力を1次元的に定量化し、各区間において河積確保を行うという管理手法がほぼ確立されている。河川環境保全においても、その計画時に、治水事業と同様に、1次元的に河川環境の管理目標を設定し、各区間における河川環境保全の目標を明示することが必要である。この手法の開発は、治水と環境の事業計画が同じステージで分析されることを促し、治水と環境の一体化への発展へつながると考えられる。本研究では、以上の背景に鑑み、河川の自然環境を対象として、環境目標を設定する上で必要となる河川環境情報を適切に評価する技術の開発を行い、治水事業と同レベルで目標設定を行うための手法を開発した。具体的には、環境省のレッドリストや河川水辺の国勢調査のデータを用いて、各生物階層について、その保全優先度を評価し、縦断図として表現した。その後、河積確保の必要性のある区間との対比を行った。本研究は、緒に就いたばかりであるが、既往研究では、掘削事業による氾濫原環境再生が可能であることが確認され、掘削事業による流下能力改善と同時に氾濫原環境の再生を適切な場所で行うことが出来れば、治水と環境の一体化が可能となると考えられる。 |