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論文投稿 土砂の流下波形(Sediment wave)を考慮した置土による河床改善効果評価モデルの提案

作成年度 2016 年度
論文名 土砂の流下波形(Sediment wave)を考慮した置土による河床改善効果評価モデルの提案
論文名(和訳)
論文副題
発表会 2016年度河川技術に関するシンポジウム
誌名 河川技術論文集
巻・号・回 6 22
発表年月日 2016/06/02 ~ 2016/06/03
所属研究室/機関名 著者名(英名)
国立研究開発法人 土木研究所 水環境研究グループ 自然共生研究センター宮川幸雄
京都大学 防災研究所角哲也
京都大学 防災研究所竹門康弘
抄録
1. はじめにダム湖に土砂が堆積することで,ダムの治水能力が低下するだけでなく,下流への土砂供給量が減少し,河床の低下および粗粒化が進行する1).この河床環境の変化は,砂州の減少等,下流河道の変化をもたらすほか,河床に付着する藻類の異常繁茂2)および細粒土砂を利用する底生動物の減少3)等,周辺の生物環境にも影響を及ぼすおそれがある.これに対し,ダム湖の堆積土砂を掘削して下流に置土し,増水時に流下させる4)ことで,ダムの貯水容量の確保だけでなく,細粒土砂が下流に供給され,河床の低下および粗粒化を抑える効果が期待されている.このとき,供給量が少ない場合は,供給した細粒土砂が流出しすぐに消失するため,河床への効果は小さくなる.一方,供給量が過剰な場合は,砂州が陸域化・固定化し樹林化が進行するおそれがある.このため,置土からの流下土砂量と置土からの距離に応じた河床変動を予測することは河川管理において重要といえるが,評価においては,置土から流下する土砂の伝播特性を考慮する必要がある.置土からの土砂流下に対する河床の応答には,下流数kmの範囲で予測が可能な一次元河床変動計算が用いられる.過去には,三春ダム5),長安口ダム6)等での解析事例があり,これらの河床変動は,流砂の連続式7)(式(1))に基づいて計算されている.0 (1)(1 )1???????xBqt Bz s?ここで,z:河床高(m),γ:空隙率,B:川幅(m),qs:単位幅あたりの掃流砂量(m2/s)である.このため,河床変動量は主に単位幅あたりの掃流砂量qsで決定される.また,置土から発生するqsの伝播特性に関しては,いくつかの推定方法が開発されている8)9).しかし,これらの計算では置土からの土砂流下量に応じた効果の違いと置土からの距離に応じた効果の違いとを分離して評価することが困難である.投入された土砂の動態については,「土砂の波(Sediment wave)」として下流に流下することがLisle(2001)らの研究10)によって指摘されており,この際には土砂の「伝播」と「拡散」の組み合わせにより表現される.このSediment waveを考慮することで,波の高さから土砂量による影響の違いを,波の分布から置土からの距離による影響の違いをそれぞれ予測できると考えられる.さらに,本式はSediment waveの発生の有無を設定可能であることから,供給される土砂量が有限である置土が河床に及ぼす効果を評価するための手法として有効であると考えられる.そこで,本研究では,置土によるSediment waveと下流の河床変動を予測する手法,およびこれらの結果から置土による河床改善効果を評価する手法を提案し,現地データを用いてその検証を行う.
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