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発表 砂面の変動高、礫の被度面積を考慮した付着藻類の現存量の変動予測

作成年度 2016 年度
論文名 砂面の変動高、礫の被度面積を考慮した付着藻類の現存量の変動予測
論文名(和訳)
論文副題
発表会 第61回水工学講演会
誌名 土木学会論文集 B1(水工学)
巻・号・回 73 4
発表年月日 2017/03/15 ~ 2017/03/17
所属研究室/機関名 著者名(英名)
国立研究開発法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター宮川幸雄
京都大学 防災研究所角哲也
京都大学 防災研究所竹門康弘
抄録
ダム湖に砂が堆積することで,下流への砂の供給量が減少し,河床の低下および粗粒化が進行する1).砂が消失した河床では,礫に付着する藻類群集(付着藻類)が,砂の粒子と衝突して剥離される機会が減少する可能性が報告されている2).付着藻類が剥離せず残存期間が長い環境下では,異常繁茂および流下する無機物の堆積が生じやすく,付着藻類を餌とするアユ等の水生生物に多大な影響を及ぼすおそれがある.これに対し,ダム湖に堆積する砂を,排砂等により人工的に下流に供給することで,河床の低下および粗粒化を抑えるだけでなく,供給された砂の衝突が付着藻類の剥離を促し,異常繁茂等を抑える効果が期待されている.砂の衝突による付着藻類の剥離は,掃流砂の運動のなす摩擦力による仕事量と関連付けられることが報告されており3),この理論をもとに,掃流砂による付着藻類の剥離量を予測するモデルを構築し,実河川に適用することで掃流砂の剥離効果を定量的に評価する試みも行われている4).しかし,砂の供給量の増加とともに礫間の砂面の高さが上昇するため5),この間は表層に露出し付着藻類が生育可能な礫の面積が少なくなると考えられる.上昇した砂面は砂の供給が終了すれば再び低減するが,砂の供給前と同じ状態で安定するとは限らず,これにより底質が変化すれば付着藻類は砂供給前とは異なる状態となる可能性もある6).また,付着藻類の生長速度は生長段階によって異なるため7),剥離後の付着藻類の生長速度が剥離前とは異なる可能性もある.この2つの現象を同じ時間軸で定量的に評価するためには,1m2あたりの付着藻類が生育可能な礫面積と礫上の付着藻類の生長速度との積から算定される1m2あたりの付着藻類の生長速度を推定する必要がある.しかし,既存の研究は礫上の付着藻類の現存量のみに着目したものが多く,砂供給後の付着藻類の生育面積の減少および剥離後における付着藻類の生長速度の増加を考慮した研究事例はほとんどない.そこで本研究では,砂の供給で砂面が上昇した後の砂面が低減する過程において,砂面の変動高および礫の被度面積の変化を考慮し,1m2あたりの付着藻類の現存量をより精緻に予測することを目的として,砂を河床に大量に投入した場合の砂面の変動高,礫の被度および付着2藻類の現存量の経過を観測した.このとき,剥離量の予測に必要な河床にはたらく掃流力を把握するため,流量および川幅が概ね一定の条件下で実験が可能な野外施設で観測を実施した.また,砂面が上昇および低減する間は河床に虫等の生物が定着せず,それらの生物による付着藻類の摂食の影響はほとんどないものとした.
本文表示【https://doi.org/10.2208/jscejhe.73.I_1183】
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