切土法面,地すべり等の安定対策工としてグラウンドアンカー工(以下,アンカー)が現在まで数多く施工されてきている。アンカーは引張り材に導入された緊張力によって法面の安定を保持する抑止構造物であり,定期的にアンカー状態を点検することで適切な維持管理が求められている。また,アンカーの維持管理において,日常点検に加え豪雨, 地震時等の異常時における点検の必要性も示されている。アンカーは背面地山等の周辺状況に応じて緊張力が変化するため,豪雨,地震等による外力が作用した場合,アンカーの緊張力が変化することが考えられ,この緊張力状況を調査することで外力が作用した後の健全性の評価が行えると考えられる。本報告では,平成 28 年 4 月に発生した熊本地震において,一部の受圧構造物に亀裂や剥落が見られたものの,周辺のアンカー未施工区間に比べのり面変状が小さく,アンカーによる抑止効果が発揮されていると考えられた地点を対象に,アンカーの外観点検,頭部露出点検を実施した 上で,リフトオフ試験により残存引張り力を求めるとともに,3 箇所のアンカーに荷重計を設置してアンカー荷重のモニタリングを行い,地震外力を受けたアンカーのり面の健全性について検討を行った結果について報告する。 |