国立研究開発法人土木研究所

論文・刊行物検索

利用者の方へ

詳細情報

発表 河道内氾濫原湿地に成立する水生動物群集の特徴

作成年度 2019 年度
論文名 河道内氾濫原湿地に成立する水生動物群集の特徴
論文名(和訳)
論文副題
発表会 第68回日本生態学会
誌名 第67回日本生態学会大会
巻・号・回 3 
発表年月日 2020/03/04 ~ 2020/03/08
所属研究室/機関名 著者名(英名)
河川生態チーム田和康太〇
岐阜大学流域圏科学研究センター永山滋也
河川生態チーム中村圭吾
抄録
演者らは,河道内氾濫原湿地を多数有している木曽川において,多種の水生動物群集を対象とした生息状況調査を実施した. 2019年の6月中旬に,木曽川の11か所の河道内氾濫原湿地において,1 mmメッシュのタモ網を用いた定量掬い取り調査を行った.採集された水生動物について,分類群ごとにその個体数を計数した.また,各調査地の電気伝導率,pH,DO,平均水深,平均泥深,平均植被率,面積,スロープ率(各調査地の周囲長に対して移行帯部分の占める割合)等を計測した. 調査の結果,計47分類群1,993個体の水生動物が採集された.最も個体数の多かったのは,ヌマエビ科であり,654個体が採集された.また,ヌマエビ科とユスリカ科幼虫はすべての調査地で採集された.分類群数が最も多かったのは魚類であったが(11分類群),水生カメムシ類(8分類群),トンボ類幼虫(7分類群)などの水生昆虫についても,比較的多くの分類群が採集された.魚類,水生カメムシ類,トンボ類幼虫それぞれの分類群数について,物理環境との関係性を解析した結果(Random Forest法),魚類では,EC(-)とDO(+)の重要度が高く,水域連続性の高い氾濫原湿地を好むと考えられた.その一方で,水生カメムシ類では,平均水深(-),面積(-),スロープ率(+)の変数重要度が高かったことから,浅く,小面積かつ移行帯の多い氾濫原湿地を好むと推察された.しかしながら,種ごとの解析では,深い氾濫原湿地を好むものも存在した.トンボ類幼虫では,平均水深(+),スロープ率(-),pH(+)の変数重要度が高かったことから,深く,移行帯がそこまで多くない氾濫原湿地を好むと推察された.このように,水生動物の分類群ごと,あるいは種ごとに,好適な河道内氾濫原湿地の環境は大きく異なっており,様々なタイプの河道内氾濫原湿地が成立することが,水生動物群集の多様性を高めることが示唆された.
ページの先頭へ

この画面を閉じる

Copyright (C) 2022 Independent Administrative Institution Public Works Research Institute