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論文投稿 河道内氾濫原と水田域におけるカエル類の生息状況の比較

作成年度 2019 年度
論文名 河道内氾濫原と水田域におけるカエル類の生息状況の比較
論文名(和訳)
論文副題
発表会
誌名 応用生態工学会誌
巻・号・回 22 1
発表年月日 2019/07/28
所属研究室/機関名 著者名(英名)
河川生態チーム田和康太〇
岐阜大学流域圏科学研究センター永山滋也
水環境研究グループ萱場祐一
河川生態チーム中村圭吾
抄録
河道内氾濫原水域と水田域におけるカエル類の生息・繁殖状況を,木曽川水系揖斐川および木曽川で調査した. また,過去の河川水辺の国勢調査における調査結果も活 用し,河道内氾濫原水域のカエル類生息状況を整理した.揖斐川の初夏期の調査では,ニホンアマガエル,ヌマガエル,トノサマガエル,ナゴヤダルマガエル,ツチガエルおよび外来種であるウシガエルの計 6 種が記録された.ニホンアマガエル,ヌマガエル,トノサマガエルおよびナゴヤダルマガエルの 4 種は,明らかに水田において,出現地点や個体数が多かった.さらに,オスの繁殖期広告音の聞き取りや幼生調査の結果から,これらの 4 種は,水田を主な繁殖場所としていることが明らかになった.しかしその一方で,水田ではほぼ記録されなかったツチガエルは,ワンドやたまりといった複数の河道内湿地で記録された.また,越冬幼生も河道内湿地で採集された.このことから,ツチガエルは,水田よりも河道内湿地を主な繁殖場所としているものと推察された.さらに,早春期の調査では,木曽川の河道内湿地でのみ,ニホンアカガエルの卵塊および幼生が記録された.過去の調査結果を精査すると,揖斐川および木曽川の河道内の複数地点で,ニホンアカガエルとツチガエルが記録されていた.以上より,河道内氾濫原に形成される水域は,ツチガエルやニホンアカガエルにとって,重要な生息および繁殖場所として機能しているものと推察された.他に,特定外来生物であるウシガエルの幼生は,河道内湿地に多く生息し,そこで越冬していた.このことから,河道内湿地における在来カエル類を含めた水生動物群集へのウシガエルの負の影響について,今後,注視する必要があると考えられた.今後の研究の展開としては,カエル類の生息・繁殖場所として好適な河道内湿地の条件を明らかにすることで,河道内湿地の整備にその知見を反映させていくことが期待される.
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