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発表 紫外線照射されたナイロン粒子がムレミカヅキモに与える影響

作成年度 2020 年度
論文名 紫外線照射されたナイロン粒子がムレミカヅキモに与える影響
論文名(和訳)
論文副題
発表会 一般社団法人日本毒性学会
誌名 第47回日本毒性学会学術年会
巻・号・回  
発表年月日 2020/06/29 ~ 2020/07/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
水質村田里美
先端材料資源研究センター李善太
水質鈴木裕識
エンテックス株式会社阿部翔太
水質山下洋正
抄録
ナイロン粒子は、一般的に化粧品等のパーソナルケア製品に含まれている。我々はこれまでの研究において、プラスチック粒子の中で特にナイロン6(Ny6)粒子がムレミカヅキモの増殖を阻害し、プラスに帯電するNy6粒子がマイナスに帯電するムレミカヅキモを吸着することで、強い増殖阻害を生じることを明らかにした。一方、環境中に放出されたナイロン粒子は紫外線(UV)等の自然劣化を受けるため、純正品と異なる影響が生じることが推察される。本研究ではUV照射されたNy6とナイロン12(Ny12)がムレミカヅキモに与える影響を検討した。藻類は(国研)国立環境研究所から入手したムレミカヅキモ(Pseudokirchneriella subcapitata)を用いた。Ny6とNy12(平均直径:15-30 ?m、Goodfellow社製)を滅菌水(3.3 g/L)に懸濁させ、低圧紫外線ランプを用いてUVc(254 nm、79 J/cm2)を照射した。風乾させたナイロン粒子を照射サンプルとして実験に用いた。Ny6とNy12粒子の表面を走査電子顕微鏡観察した結果、いずれもUVc照射により表面に亀裂が生じ、内部に空隙が観察された。一方FT-IRの波形はUVc 照射前後で変化は見られなかった。ナイロン粒子を用いてムレミカヅキモの増殖阻害実験を行った場合、照射前のNy6とNy12では増殖が阻害されたが、照射後では増殖阻害が観察されなかった。Ny6粒子に対するムレミカヅキモの吸着実験を行った場合、振とう6時間後の上清中の細胞数は、照射前のNy6ではコントロールに比べて1.7%まで減少したが、UVc照射後のNy6では41%の細胞が検出された。Ny12でも同様な傾向が見られたことから、UVc照射によりナイロンが劣化することでムレミカヅキモへの吸着力が低下し、増殖阻害の影響が減少することが明らかになった。
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