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発表 木曽三川流域における水温レジームと魚類の分布パターン

作成年度 2021 年度
論文名 木曽三川流域における水温レジームと魚類の分布パターン
論文名(和訳)
論文副題
発表会 応用生態工学会 第 24 回大会
誌名 応用生態工学 第 24 回大会
巻・号・回  
発表年月日 2021/09/22 ~ 2021/09/24
所属研究室/機関名 著者名(英名)
自然共生研究センター末吉正尚
北海道立総合研究機構石山信雄
北海道大学北極域研究センターJorge Garcia Molinos
水環境研究グループ中村圭吾
抄録
水温変動(水温レジーム)は河川性魚類の分布を決定づける最も重要な要素であると同時に気温の変化や土地利用などの影響を受けやすく、将来の気候変動や人口増減による変化が予想されている。水温レジームに関しては、最高水温や最低水温、変動など個々の指標と生物分布の関係性は進んでいるが、それら指標の体系化および生物分布との関係の検証はあまり進んでいない。本研究では、木曽三川流域約50地点で計測された約4年間の経時水温データ用いて、1) 水温レジームの指標化2) 木曽三川流域の水温レジームのグループ化3) 機械学習による水温レジームと魚類の分布との関係性解析を行うことで、生物の分布を説明するうえで適切な水温レジーム指標を探索した。2.材料と方法中部地方を流れる木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の47地点においてロガーを用いた時間水温データ(2016年11月~2021年3月)を取得した。魚類は、計測地点の近隣94地点で電気ショッカーを用いて採捕し、調査面積および種ごとの個体数を計測した。水温変動(水温レジーム)は河川性魚類の分布を決定づける最も重要な要素であると同時に気温の変化や土地利用などの影響を受けやすく、将来の気候変動や人口増減による変化が予想されている。水温レジームに関しては、最高水温や最低水温、変動など個々の指標と生物分布の関係性は進んでいるが、それら指標の体系化および生物分布との関係の検証はあまり進んでいない。本研究では、木曽三川流域約50地点で計測された約4年間の経時水温データ用いて、1) 水温レジームの指標化2) 木曽三川流域の水温レジームのグループ化3) 機械学習による水温レジームと魚類の分布との関係性解析を行うことで、生物の分布を説明するうえで適切な水温レジーム指標を探索した。2.材料と方法中部地方を流れる木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の47地点においてロガーを用いた時間水温データ(2016年11月~2021年3月)を取得した。魚類は、計測地点の近隣94地点で電気ショッカーを用いて採捕し、調査面積および種ごとの個体数を計測した。水温毎時データをもとに、以下の水温レジーム指標を算出した。四季ごとの(春:4-6月、夏:7-9月、秋:10-12月、冬:1-3月)最高、平均、最低水温、水温変動(標準偏差)、年水温較差(年最高-年最低)、高水温年間累積時間(30、25、20℃以上の年間累積時間)低水温累積時間(0、5、10℃以下年間累積時間)。これらの指標値をもとに、k-means法で計測地の水温レジームをクラスター化し、クラスター間で冷水性魚種の生息密度を比較した。加えて、Random Forestによる機械学習によって各魚種の生息密度に対する各指標の相対的な重要度を算出した。3.結果と考察計23の水温指標に基づいて、木曽三川の水温レジームは7つのクラスターに分けられることが分かった。特に山地から扇状地にかけての中標高帯内で多様なクラスターおよび各クラスターを決定づける指標値のばらつきがみられた(図1, 2;クラスター1,4,6)。冷水性魚類は、特定のクラスターに分布する傾向がみられ、複数クラスターに分布する種も生息密度に差がみられた。各水質指標の相対的重要度は、最高水温や水温較差が高くなる傾向がみられた。また、各魚種に対して複数の指標が高い重要性を示しており、複数の指標を組み合わせることが魚類の分布を説明するうえで重要であることが分かった。
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