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発表 過去40年間で見られなくなった淡水魚はいるのか:河川中下流域における緑の国勢調査と河川水辺の国勢調査を用いた比較

作成年度 2021 年度
論文名 過去40年間で見られなくなった淡水魚はいるのか:河川中下流域における緑の国勢調査と河川水辺の国勢調査を用いた比較
論文名(和訳)
論文副題
発表会 応用生態工学 第 24 回大会
誌名 応用生態工学
巻・号・回  
発表年月日 2021/09/22 ~ 2021/09/24
所属研究室/機関名 著者名(英名)
自然共生研究センター森照貴
いであ株式会社川口究
いであ株式会社早坂裕幸
いであ株式会社樋村正雄
福岡県保健環境研究所中島淳
抄録
生物多様性の現状把握と保全への取組みに対する社会的要求が高まる一方、河川を含む淡水域の生物多様性は急激に減少している可能性がある。生態系の復元や修復を実施する際、目標を設定することの重要性が指摘されており、過去の生息範囲や分布情報をもとにすることは有効な方法の一つである。そこで、本研究では1978年に実施された自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)と1990年から継続されている河川水辺の国勢調査を整理し、1978年の時点では記録があるにも関わらず、1990年以降、一度も採取されていない淡水魚類を「失われた種リスト」として特定することを目的とした。109ある一級水系のうち、102の水系で二つの調査結果を比較することができ、緑の国勢調査で記録されている一方、河川水辺の国勢調査での採取されていない在来魚は、全国のデータをまとめるとヒナモロコとムサシトミヨの2種であった。比較を行った102水系のうち、39の水系では緑の国勢調査で記載があった全ての在来種が河川水辺の国勢調査で採取されていた。一方、63の水系については、1から10の種・種群が採取されていないことが明らかとなった。リストに挙がった種は水系によって様々であったが、国や県のレッドリストに掲載されていない普通種も多く、純淡水魚だけでなく回遊魚や周縁性淡水魚も多くみられた。水系単位での局所絶滅に至る前に「失われた種リスト」の魚種を発見し保全策を講じる必要があるだろう。そして、河川生態系の復元や修復を実施する際には、これら魚種の生息環境や生活史に関する情報をもとにすることで、明確な目標を立てることが可能であろう。
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