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発表 大河川における河畔林の面積が地表徘徊性甲虫類(オサムシ上科)の群集に及ぼす影響

作成年度 2021 年度
論文名 大河川における河畔林の面積が地表徘徊性甲虫類(オサムシ上科)の群集に及ぼす影響
論文名(和訳)
論文副題
発表会 第69回日本生態学会大会
誌名 第69回日本生態学会大会
巻・号・回  
発表年月日 2022/03/14 ~ 2022/03/19
所属研究室/機関名 著者名(英名)
自然共生研究センター川尻啓太
自然共生研究センター東川航
自然共生研究センター森照貴
自然共生研究センター中村圭吾
抄録
河畔域では、しばしば起こる氾濫が多様な植生構造を維持してきたが、近年では洪水による攪乱の減少等に伴い、河川の中~下流域を中心に河畔林が著しく拡大(樹林化)している。こうした樹林化は、増水時に河川の流れを妨げるため、治水のために樹木の伐採が各地で行われている。一方で、大河川での河畔林の存在や面積の大小が生物相に及ぼす影響については十分に理解されておらず、伐採を進める上で保全すべき河畔林の設定基準が求められている。そこで本研究では、河畔域を広く利用する地表徘徊性甲虫類(オサムシ上科)の種数や個体数に対して、河畔林の存在や面積が及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、以下の調査を行った。木曽川、長良川、揖斐川の中~下流域において、様々な大きさの河畔林とその近傍にある砂礫地や草地の計30地点を調査地とした。各調査地において5月下旬から6月上旬に、ピットフォールトラップを用いた定量的な採集調査を行った。その結果、河畔林におけるオサムシ上科の群集構造は、砂礫地や草地の群集構造とは有意に異なることが示された。また、一般化線形混合モデル(GLMM)を用いた解析の結果、オサムシ上科の種数は河畔林の面積が約5,000m2のときに最大値をとり、個体数は河畔林の面積と正の相関がみられた。これらの結果から、地表徘徊性甲虫類の多様性を維持するのに必要な河畔林の面積が明らかとなり、伐採時に生息地としての河畔林を保全する上で重要なひとつの基準が示された。さらに、河畔林の生息地としての機能をより詳細に示すために、河畔林の内部と林縁部の群集構造の違いについても議論を行う予定である。
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