道路においては、豪雨時の土砂災害からの道路利用者の安全確保を目的に事前通行規制行われている。これまでは主として連続雨量法を用いた規制が行われているが、近年の集中豪雨や先行降雨の影響を踏まえた、効率的な通行規制手法が求められている。一方、気象・砂防分野における土砂災害警戒情報では、土壌雨量指数および時間雨量によるスネーク曲線が用いられており、各自治体において過去の災害の捕捉性を踏まえたCL(クリティカルライン)を設定して避難勧告等が行われている。道路の事前通行規制においても、土壌雨量指数-時間雨量を用いた方法の適用性検討が進められているところであるが、各自治体で設定しているCLは比較的広範囲で設定されている場合が多く、道路被災箇所のピンポイントの降雨と乖離して捕捉できないような課題がある。また、土壌雨量指数-時間雨量のように時間雨量との関係を用いて規制を行う場合には、時間雨量の増減に伴いCLに対して乱高下する場合もあるため、CLに対する超過での規制および解除の判断が難しいといった課題もある。このため、筆者らは上記の課題を踏まえて土壌雨量指数を用いた事前通行規制手法の検討を進めており、降雨に対して土壌雨量指数を求める際の3つのタンクの挙動を分析し、土壌雨量指数-第2第3タンクの合計値を用いることで、先行降雨および短時間集中豪雨に対しても効率的に規制が行える可能性があることを確認した。本報はその概要を報告するものである。 |