河川堤防等の盛土構造物には,浸透した雨水や河川水により浸潤線が上昇しないように,速やかに排水するためのドレーン工が法尻に設置される.ドレーン工は盛土の安定に対して極めて有効であるが,繰返し浸透により目詰まりを生じ,機能低下が懸念される.ドレーン工設計マニュアル1)では,フィルター部を含むドレーン工全体の透水係数として1×10-4m/secを用いた浸透流解析によって,ドレーン工の効果を評価し,ドレーン工の大きさを設計することとされている.この透水係数は,図1のようにフィルター材やフィルター材周辺の堤体土にある程度の目詰まりが起きた状態のドレーン工を想定したものであり,目詰まりが生じた場合においても十分な効果が発揮するようにという考え方に基づいたものである.しかし,目詰まりを想定した小さな透水係数を設計で用いると,ドレーン工を大きくせざるを得ず,堤防強化が現実的ではなくなるという問題もある.このため,ドレーン工周辺の堤体土を模擬した要素実験2)などやドレーン工が設置されている堤防の開削調査3)を実施してきた.これらの結果では,粒度の変化や変化が疑われる箇所が存在したが,目詰まりの痕跡は確認されていない.今回は,大型浸透模型(盛土高さ3m)の法尻にドレーン工を設置し,繰返し浸透させた上で,開削調査により透水試験や密度試験を実施した. |