| 出水時の河川堤防の変状被害を検討する上で，堤体ならびに基礎地盤の透水性の把握は必要不可欠である。特に浸透流解析に用いる飽和透水係数は，堤体は室内試験で求めることとされている1)が，室内試験と現場透水試験の結果に1～3オーダーの開きがある事例の報告2)～4)や被災事例を浸透流解析で検証する際に室内透水係数の結果では現象を説明できない（透水係数が小さすぎる）という報告3)も聞かれる。本研究では，原位置における乱さない状態での透水試験であるJGS1316-2003の「締め固めた地盤の透水試験方法」5)を実施するとともに，不撹乱試料のサンプリング6)を行い，室内透水試験も実施した。一般に現場透水試験で得られる飽和透水係数の方が大きな値が得られることが多い2)～4)が，その理由が現場と室内の粒度や不均質性を含めたスケールの違いなのか，試験時の浸透メカニズムの違いなのか，あるいは，堤体盛土の透水性の異方性によるものであるのか，全く明確ではない。そのため，不撹乱試料の室内試験においては，供試体を実地盤内における水平方向および鉛直方向となるように成型することによって，透水性の異方性の計測を試みると伴に，現場透水試験との比較も実施した。また，必要に応じて透水試験後に三軸圧縮試験を実施した。 |
