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発表 2016年熊本地震被災地益城町の明治期古地図の集成

作成年度 2018 年度
論文名 2016年熊本地震被災地益城町の明治期古地図の集成
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本地球惑星科学連合2018年大会
誌名 日本地球惑星科学連合2018年大会
巻・号・回
発表年月日 2018/05/20 ~ 2018/05/24
所属研究室/機関名 著者名(英名)
土木研究所 地質・地盤研究グループ稲崎 富士
土木研究所 地質・地盤研究グループ小河原 敬徳
抄録
2016年熊本地震によって同県益城町では局所的に甚大な建物被害が発生し,その原因調査を目的とした被害調査・地盤調査が大学等の多数の機関で実施されてきた.我々も益城町内において5本の短い測線を設定し,浅部地盤の局所不均質構造の把握を試みた(稲崎ほか,2017).その結果,布田川断層から分岐し益城町市街地方向に進展した地表地震断層の直下には,東南東側が持ち上がる累積縦ずれ変位構造が認められること,市街地の建物被害集中帯を浅部地下不均質構造で説明することは困難であることを明らかにしてきた.その浅部物理探査結果断面の解釈を進めるなかで,国土地理院が公開している基盤地図情報(5mDEM)を図化解析した.また熊本県立図書館に保存されていた明治期郡村図のうち,現益城町を構成する旧17町村の古地図を複写し,GIS上で集成した. その解析の概要を以下に述べる. 5mDEMデータを地図等高線作成ソフトウエア(Surfer15)に取り込み,彩色を施すとともに傾斜量を計算し重ね合わせて表示し読図した.その結果,益城町市街地を載せる託麻台地は緩やかに南西に傾動しており,変動地形面であると解釈することができる.台地面は迫川,鉄砂川などの小規模河川によって浅く開析されており,木山川,秋津川との境界部には明瞭な段丘面は認められない.一方木山川境界崖地は上流側ほど比高が大きくなり,浸食崩壊が進んでいる.崖地には根なしの開析谷が残存し,急速な地形変動の発生をうかがわせる. 収集した同古地図は,旧村ごとに分割図化されA3に縮小保存されていた.土地利用形態によって居住地,街道,水域,緑地,山林等に色分けされていることが特徴的である.複写した古地図は,広崎村,福富村,古閑村,馬水村,惣領村,安永村,木山町,寺迫村,宮園村,福原村,平田村,田原村,下陣村,上陣村,小谷村,杉堂村,寺中村の17町村である.明治22年に飯野村として合併した砥川村,赤井村,小池村,島田村の4村は集成の対象としていない.これらの郡村図は,明治初期に熊本県内の各郡,町村で郡誌・村誌を編纂する際の付図として県土木課によって測量・作成されたものである(熊本県立図書館,2016).この古地図をまずスキャン・画像ファイル化し,画像加工処理ソフトウエア上でノースアップ回転させ,褪色補正,切り抜き輪郭強調補正を施した.つぎに地図等高線作成ソフトウエアに取り込み,基図とした基盤地図情報ベクターデータ(行政界,水域,道路縁等)を参照して集成を試みた.なおこれらの郡村図,平板測量によって図化されており,境界や地物の相対位置が大きく歪んでいた.そこで行政区画線上あるいは道路交差部等の特徴点をコントロールポイントとして抽出し,幾何学的補正処理を施して位置情報を付与した.
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